カフェをこよなく愛する静かな男の駄文

カフェをこよなく愛する静かな男の駄文

オタク恋物語 その3

オタク恋物語 その3

 

姫との出会いは、秋葉原にあったコンカフェ、ミュージック&カフェバー331であった。

 

ある日、過去の現場で仲良くしていたオタ友Y氏に知り合いの元地下アイドルが働くコンカフェに行こうと言われ行ったのがその店であった。

 

その店は秋葉原のメイド通りから1本入った路地裏の雑居ビルにあり、2階が特撮系コンカフェ、3階がリフレで、331は4階にあった。

 

雑居ビルは怪しげな空気に怪しげな匂いがし、4階に上がるエレベーターの中で私は変な店にでも連れて行かれるのではないかと思ったが店内は、5人程が座れるカウンターと、2人掛けのテーブル席が5席並ぶ一般的なコンカフェであった。

 

若干薄暗い店内にはカウンターに1人とホールには2人キャストがおり、音符をモチーフにした可愛らしい衣装を着ていた。

 

我々に気付いたキャストの1人が声をかけてきた。

「ま〜た来たんか!、、、と思ったら新しい人!」

 

とフランクに声掛けてくれたのが姫であった。

 

姫は丸い顔に丸い目、小柄で黒髪ミドルの20歳くらいでオタク受けの良いルックスで誰にでも親しげに話しかけてくださる愛らしい性格の女性である。

 

その日から私はよくその店に行くようになった、そもそもキャスト名があるのだが、何故か皆、姫と呼んでいた。

 

姫は非常に嫉妬深かった、ツイッターで他のキャスト名を呟いたり、秋葉にいる呟きをするとすぐに威嚇ファボが飛んで来るので私のツイッターの通知欄は姫で埋まった。

 

姫は優しくも厳しく、そして自由であった。

 

姫は多数のオタクを従えていたが、特に姫の出勤日に必ず店の端に席に座り静かにしているオタクがいた、私は彼が姫のTO(トップオタ)ではないかと考え話しかけることにした。

 

TOに嫌われても良いことは無い、私は以前の地下アイドル現場でTOに嫌われたオタクがTO配下のオタクからライブのモッシュ中に暴行を受けたり、荷物を足蹴りされたりするのを見てきたからである、その現場で最終的に出禁になったのはTOの方であったが、、、

 

話がそれてしまったので戻そう、私は彼に声をかけた。

「いつもいらっしゃいますが姫のTOですか?」

「私はこういう者です」

彼は名刺をくれた、そこには《輪久田未来》と書かれていた。

「waーと呼んでください」

彼はそういうとじっと姫の方を見つめていた。

 

結果的に彼はTO(トップオタ)でありTO(ただのオジサン)であった。

 

waーさんは姫のオタクの中でも一番献身的なオタクであった。

 

姫はお店に出勤するとwaーさんに、DMを送っていた内容は姫が食べるサラダや軽食を買ってこいというものだった。

 

そんな献身的なwaーさんであったが、他のキャストにドリンクを奢り、姫の怒りをかってしまった、姫はwaーさんに一言も話しかけず、waーさんは端の席で静かに姫を見つめながら呟いた。

「姫は私の事が好きなんです、、、」

 

彼は妄信的であった。

 

そんな冷戦状態の中、姫の生誕祭が近づいていた。

 

つづく

 

※フィクションであり実際の人物、団体とは一切関係ありません。