カフェをこよなく愛する静かな男の駄文

カフェをこよなく愛する静かな男の駄文

私の涙がそなたの道を、、、

王女の生前退位が発表され、私は悲しかった。

 

そして、何か心にぽっかりと穴が空いてしまったような感覚になりました。

 

王女がびびびーを辞めるということはお店も辞めるということです。

 

三年間という幸せな日々に感謝し、盛大に送り出したいという気持ちの一方、寂しさが勝ってしまいます。

 

このようなとき、どのような表情をすればよいのか。

 

今まで私は、困ったとき、どうしていいか分からないとき、いつも笑顔を作っていました。

 

きっかけは、私が小学4年生だった時になります。

 

その日は、尿検査の検体を提出しなければいけない日でした。

 

恥ずかしながら、私はもうすぐ10歳になるというのに、尿の採取を母親に手伝ってもらっていました。

 

しかし、朝の採尿時、簡易検尿カップを母が便器内に落としてしまったことで、検尿は失敗に終わりました。

 

検体を提出できないことで、先生に怒られると思った私は、母に学校を休みたいと懇願しましたが叶わず、母は軽々しく

 

「お母さんが検尿カップ落としたって言えばいいじゃない」

 

と言い放ちました。

 

学校に行き、朝礼が始まると、すぐに提出となりましたが、

私は齢10にもなるというのに、母に検尿を手伝ってもらったなんて言えるわけもなく、黙っておりました。

 

すると、50代の女性担任が、

 

「尿検査忘れた人立ちなさい」

 

と言い私は、30名ほどのクラスのなかでただ一人忘れたということで、立たされました。

 

見せしめというやつです。

 

私は忘れてしまったことを謝罪しましたが、担任は、

 

「どうするの、今日出せなかったら検査できないじゃない」

 

と言いました。

 

答えなど出るわけもなく、私は立ったまま、恥ずかしさで頭は真っ白でした。

 

担任教師は黙ったままの私を見ながら、クラス全員に対して、

 

「ほら見て、〇〇君(私の名前)笑ってるよ。人って困ったとき、笑顔になるんだよ、不思議だよね〜。」

 

と言いました。

 

その時、私は自分が今、笑っているということに気がついたのです。

 

午後になり、朝の失敗などすっかり忘れ、友人と中休みで遊んでいると、担任教師が私の元に走ってきて、

 

「朝はごめんなさいね。さっきあなたのお姉さんから、尿検査のこと聞いたのよ。お母さんが失敗して落としちゃったんだってね。素直に言ってくれれば良かったのに。」

 

と私の2学年上の姉から話を聞いたようで、申し訳なさそうに言いました。

 

私としては、もう終わったことだったのですが、友人の前で

母親に尿検査を手伝ってもらったことをばらされ、私はどうしていいか分からず笑顔を作りました。

 

この日から、私は困ったときどうしていいかわからないとき笑顔を作るようになりました。

 

中学校のサッカー部、先輩に理不尽に蹴られたときも、私は笑顔でした。

 

高校の初恋、好きな子に告白し、

「えっ、友達だよね」

と雑な断られ方したときも笑顔でした。

 

大学4年生、公務員試験に全て落ち、卒業間近で、ハローワークに相談に行ったときも笑顔でした。

 

初めての会社、ブラック企業でしたが、笑顔でした。

 

転職し、さらなる地獄を見ようと笑顔でした。

 

今、王女の卒業が発表され、私はどんな顔をしていますか。

 

鏡を見ると、私の口元は笑っていました。

しかし、目からは黄色い涙が流れました。

 

涙がそのまま、頬をつたり口に流れました。

 

甘い、、、涙が甘かった、、、

 

 

願わくば、私の目から流れたはちみつが、あなたの道を照らさんことを、、、